― ICTアドバイザーの本当の役割とは ―
昨日、神奈川県内で開催されたICT施工経営者セミナーに登壇する機会をいただきました。
その中で改めて強く感じたことがあります。それは、「都市部ほどICT施工が難しい」と言われる背景です。
しかし現場感覚で言えば、これはICTが使えないという話ではありません。むしろ逆で、都市部こそICT施工の価値が高まる領域です。
ではなぜ広がらないのか。
結論から言えば、ICTの技術不足ではなく、使い方を設計できる人材が不足していることに尽きます。
都市部の現場は「条件密度」が高い
都市工事の特徴は明確です。
・限られた施工スペース
・工程の細分化
・周辺環境への配慮
・地下埋設物の複雑さ
・交通や近隣との調整
つまり、大規模造成のような「面で効くICT」ではなく、ピンポイントで効かせるICT設計が求められる現場です。
ところが現在のICT施工の多くは、まだ「広い現場で効率化」という文脈で語られています。ここにズレが生じているのです。
都市部でICTが浸透しないのは、価値がないからではありません。
価値の出し方を設計できていないだけです。
ICTアドバイザーの役割は“販売”ではない
ここで重要になるのが、ICTアドバイザーの立ち位置です。
ここは個人的に大いに言いたい事があるところですが、昨今のICTアドバイザーの中にはいわゆる「ぼったくり」と感じるような価格でICT施工の付帯サービスを提供している業者が居ることを問題視しています。
一方で、私たちは機械や機器の販売者ではありません。
役割は「翻訳者」です。
発注者の悩みを翻訳する。
施工者の制約を翻訳する。
機械の可能性を翻訳する。
そしてこの三者を繋ぎ、最適な施工モデルを設計する。
ここが本質です。
ICT機械のスペック説明だけでは、現場は動きません。
現場が知りたいのは、
「この現場のどの工程をICT化すれば、一番効果が出るのか」
という一点だからです。
少し極端に言えば、
「精度が良いですよ」
「速いですよ」
という説明は、もう市場の関心ではありません。
ユーザーは既に性能の高さを理解しています。
その上で悩んでいるのは、
・どこに使うべきか
・本当にコストに合うのか
・現場条件で成立するのか
つまり「適用設計」です。
ここを言語化できる会社が、これからのICT施工の主導権を握るでしょう。
私は最近、「都市型ICT施工」という考え方を意識的に使っています。
これは単に都市部でICTを使うという意味ではありません。
狭小現場、複雑工程、高精度要求といった条件下で、ICTをどう分解して使うかを設計する思想です。
例えばチルトローテータの活用は、その象徴的な事例です。
狭い現場ほど価値が出る。
工程短縮効果が見えやすい。
安全性にも直結する。
つまり都市部ほど装備価値が上がる機械です。
こうした「都市型適合ICT」を体系化することが、これからの建設DXの鍵になります。
難しい現場の事例を積み上げ、標準モデルを作る。
それが建設DXの次のステージだと確信しています。
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